自分に酔い、恍惚とした表情になったそのときだった。


突然薄闇の中にカシャカシャカシャといシャッター音が響き渡ったのだ。


光平はハッと息を飲んで振り返る。


工事現場の壁の奥へ逃げていく人影が見えて立ち上がった。


一瞬クルミを見下ろしたが、クルミは出血のショックのせいか完全に気絶してしまっているようだ。


本当は生きている間にもっと拷問したいが、今は緊急事態だ。


このままクルミが死んでしまっても仕方ない。


光平はクルミをそこに残して、人影を追いかけたのだった。