そして、現在。


光平は目の前に転がっているクルミを見下ろしていた。


クルミは蒼白顔で小刻みに震えている。


2人がいる場所はクルミの家から近い工事現場で、なにか問題が起きたようで途中で取りやめにされていた。


周囲には当時使われていた工具がそのまま残されていたし、これほど殺人に最適な場所はないと思えた。


この場所も光平の体が勝手に探し当ててきたものだった。


光平はクルミを見下ろして舌なめずりをした。


それはとても大きな動物で光平は自分の血が騒ぐのを感じた。


今からこの大物を殺すことができるんだ。


どうやって殺そうか?


簡単に死んでしまっては面白くない。


ここはやっぱり、少しずつ痛みつけるのがいいだろう。


そう判断した光平は工具箱の中からニッパーを取り出した。


少し錆びているけれど、力を込めれた爪くらい簡単に剥がせそうだ。