それからの光平の人生は壮絶なものだった。


幸いにも親戚に引き取られた光平だったが、その日から叔父、叔母からの虐待が始まった。


楽しみにしていた幼稚園に行かせてもらえるはずもなく、毎日毎日叔父からの命令に従うばかり。


まだ手元もたどたどしい光平へ向けて、無理難題を押し付けてくる。


それができなければ、拳や足が飛んできた。


叔母の家事の手伝いを怠れた1日分の食事を与えられなかったし、光平は日に日に内へこもるようになってしまった。


そんな状態で小学校にあがる年齢になった。


両親が亡くなってから家からもあまり出ることのなくなっていた光平は、突然のクラスメートたちに囲まれて混乱した。


突如集団生活の中に放り込まれた内気な光平がうまくいくわけがなかった。


クラスメートたちとろくに会話もできない光平がイジメのターゲットにされるのは時間の問題だった。


プリントをまわしてもらえないことは日常茶飯事で、時にはシューズを隠されることもあった。


でも、そんなことは叔父や叔母に相談できない。


シューズがなくなったと言えば、怒られるのは光平だ。


だから絶対に言えない。