「痛い……」
夕暮れ時の寝室、私はシーツを身体に巻き付け、エアコンの風を浴びていた。つい先ほどまで風雅と愛し合った身体はじんじんと疼くように痛く、身の置き所がない感じだ。
二十八歳の初体験は、結構過酷だった。風雅は優しくじっくり愛してくれたけど、私たちの身長差は四十センチ。
こんな言い方はしたくないけど、受け入れた私は結構頑張ったと思う。しかもあの男、途中から遠慮がなくなって結構激しく……。
「希帆ー」
明るい声とともに寝室のドアが開いた。Tシャツにスウェット姿の風雅が覗いている。なんていきいきした笑顔なの、あなた。
「ごはんできたよ。リビング来られる?」
昼食も食べずに愛を交わしていたため、風雅が何か作ると三十分ほど前にベッドから出たのだ。
いい匂いがするし、おそらくダイニングテーブルには風雅お手製のごはんが並んでいるはず。
「大丈夫よ、問題ない」
強がってシーツを巻き付けた格好ですっくと立ち上がり、違和感と痛み、足腰の力の入らなさにへたり込んでしまった。
「希帆」
風雅が歩み寄り起こしてくれるけれど、その手を断る。恥ずかしい。ここで手を借りたくない。初体験の後、足腰立たなくなっている姿なんか見せたくない。ついさっきまでもっと恥ずかしい姿は見せてしまったけれど、それとは別!
「食事、こっちに運ぶ?」
「大袈裟ね。なんでもないったら。着替えていくから、先に行ってて」
「希帆ちゃ~ん、強がらないの~」
風雅がシーツを私の身体から剥ぎ取り、すぐさまベッドサイドに畳んである自分のTシャツを私の頭から被せた。風雅のTシャツは私にはワンピースサイズだ。全身が隠れる。さらに風雅は私のお尻の下と背を支え、幼児のように抱き上げた。
「ちょっと!」
「身体つらいんでしょ。ほら、運んであげる」



