「希帆は言いだしたら聞かない人だから、その覚悟を無駄にしちゃいけないね」
「風雅……」
「好きだよ。お願い、力抜いて」

気づけば握りしめていた拳を緩める。見つめ合ったままでいると、風雅が私の身体をシーツに横たえた。

初夜を思いだす。強引にベッドに押し倒されたとき、風雅がこんなに男っぽくなっていたのかと驚いた。私を女として抱きたいと思っていたのかと、少しだけ怖かった。

だけど、今はもう怖くない。
風雅の全部を受け止めたいと思える。

「風雅、遅くなってごめんね、風雅の純愛に答えを返させて」
「うん、ありがとう、希帆。あのね、希帆以上に俺も緊張してるからね。高校時代から、そういうことしてないし、希帆とするのは初めてなんだから。上手にできなくても許して」

十代男子みたいな言い訳をする風雅が可愛くて私はその頬を両手で包んだ。もう手は震えていない。

「愛してるよ、希帆」
「私も、ちゃんと風雅を愛してる」

再び唇が重なった。