仮面夫婦の子作り事情~一途な御曹司は溢れる激愛を隠さない~


公園から徒歩二十分で私たちのマンションに到着する。日曜の昼下がり。私は鼻息も荒く、先にシャワーを浴びた。汗ばんだ肌を綺麗にし、髪も洗う。
準備をしながら、心臓がずっと鳴り響いているのを感じていた。

風雅と抱き合う。風雅のものになる。ううん、『ものになる』という言い方は好きじゃない。
風雅に好きだって気持ちを全身で伝える。
それにはきっとこの方法が一番いい。

「シャワー浴びてきたから、風雅も浴びてきなさい」
「うん……。ねえ、希帆、無理してない?」
「してないわよ!」

風雅は私の豹変に、戸惑い気味というか心配そうだ。そりゃ、ちょっとは無理してる。初めてだもの。
シャワーを浴び、濡れ髪に上半身裸の風雅がやってくる。ベッドに腰かけていた私は、ベッドの上に立ち上がり、タオルを取り上げ風雅の髪をわしわしと拭いた。

「乾かさなきゃ駄目っていつも言ってる」
「うん、そうだね」

手が震えてるのも、声が上ずりそうなのもバレていないといい。自分で言いだして緊張で死にそうだなんて。

すると、風雅が私の手首を掴んだ。
バスタオルごと下ろさせ、そのまま私をベッドに座らせると横に腰かけた。

「俺は希帆が俺の方を見てくれただけで満足。ここから先はゆっくりでいいよ。今日、無理することない」

私の顔を覗き込んで、またそんな甘いことを言う。