私は頭を抱えてため息だ。
「ねえ、風雅。本当にこの十年、好きな人できなかったの?」
「希帆以外には」
風雅はぬけぬけといい、私を見つめる。
「うちの親父の体調が良くないからこのタイミングの結婚になったけど、俺としては希帆と結婚できればあと十年は待てたよ」
風雅のお父様は、十年以上前に大きな病気をして、あまり無理のできない身体なんだそうだ。そのお父様を安心させてあげるためにも、私は結婚を早めることを了承したのだけれど。
「やっぱり風雅、私のこと好きじゃないでしょ」
好きな相手なら、そんな適当なことは言わないはずだ。きっと、風雅は親の言うままに適当な相手として私を選んだ。高校時代からわかってる、この婚約のからくり。
うん、だから私も自分の主張をしよう。
「……高校時代に婚約は了承した。親同士の意向もあるから、風雅とは結婚するけど」
「けど?」
「基本別居婚でいきましょう。私、台湾に大事な仕事がたくさんあるから」
「最初のうちはいいよ。そのうち、日本で同居できれば」
それはやっぱり後継者を産むべきって意味で言っているのだろう。私は真顔で風雅を見つめる。
「そこも相談なんだけど、私たち、夫婦になってもそういうことできないと思わない?」
「そういうことってセックス?」
ずばりと言われ、私は頬が熱くなる。こっちは男女関係について、この年までご縁がなかったのだ。はっきり口に出されると困る。
「ねえ、風雅。本当にこの十年、好きな人できなかったの?」
「希帆以外には」
風雅はぬけぬけといい、私を見つめる。
「うちの親父の体調が良くないからこのタイミングの結婚になったけど、俺としては希帆と結婚できればあと十年は待てたよ」
風雅のお父様は、十年以上前に大きな病気をして、あまり無理のできない身体なんだそうだ。そのお父様を安心させてあげるためにも、私は結婚を早めることを了承したのだけれど。
「やっぱり風雅、私のこと好きじゃないでしょ」
好きな相手なら、そんな適当なことは言わないはずだ。きっと、風雅は親の言うままに適当な相手として私を選んだ。高校時代からわかってる、この婚約のからくり。
うん、だから私も自分の主張をしよう。
「……高校時代に婚約は了承した。親同士の意向もあるから、風雅とは結婚するけど」
「けど?」
「基本別居婚でいきましょう。私、台湾に大事な仕事がたくさんあるから」
「最初のうちはいいよ。そのうち、日本で同居できれば」
それはやっぱり後継者を産むべきって意味で言っているのだろう。私は真顔で風雅を見つめる。
「そこも相談なんだけど、私たち、夫婦になってもそういうことできないと思わない?」
「そういうことってセックス?」
ずばりと言われ、私は頬が熱くなる。こっちは男女関係について、この年までご縁がなかったのだ。はっきり口に出されると困る。



