優雅さんに案内されるまま、無人のエントランスを抜けた。エレベーターで到着したのは十階。通された小部屋はモニターが何台も並んでいる。見れば映っているのはオフィスと会議室、応接室のようだ。
「防犯用のモニタールームとは別に、社員の動向を管理している部屋です。一般の社員は存在すら知りません」
ぎょっとした。この会社は、常時こうして社員を監視しているということだろうか。
いくつかのオフィスにはまばらに人が見えるが、会議室や応接室は無人で暗い。休日だからこんなものだろう。いや、ひとつだけ明るい会議室がモニターに映っている。
「風雅……」
会議室の中央にいる背の高い人物は、どう見ても風雅だ。横に部下らしき男性が二名。その前にもう一人、風雅に対峙する格好でシャツにネクタイ姿の男がいる。
優雅さんが並ぶ機器をいじると室内の音声が響きだした。
『……わかった? それじゃあ、荷物まとめて出ていってもらうから。損害賠償については、弁護士から封書がいくよ』
風雅の声だ。向かいの男に向かって話しているのだろう。
『社長代理……! 風雅様、それは誤解です……! どうかお慈悲を……』
『まあまあ、何も命は取るなんて物騒なこと言わないよ。でも、表舞台には絶対に出させない。おまえの人生はもう終了』
風雅の声はどこか楽しそうだ。斜め上から見下ろす格好で見える表情は酷薄としたもの。
男がよろよろと膝をつき、額づく。土下座の格好で叫ぶ。
『風雅様、どうか今一度チャンスを……! もうけしてあなたを裏切るような真似は……』
『うるさいな』
風雅の冷たい表情に見覚えがあった。
私を傷つけた同級生の話をしながら、風雅はこんなふうに冷たく笑っていた。
「防犯用のモニタールームとは別に、社員の動向を管理している部屋です。一般の社員は存在すら知りません」
ぎょっとした。この会社は、常時こうして社員を監視しているということだろうか。
いくつかのオフィスにはまばらに人が見えるが、会議室や応接室は無人で暗い。休日だからこんなものだろう。いや、ひとつだけ明るい会議室がモニターに映っている。
「風雅……」
会議室の中央にいる背の高い人物は、どう見ても風雅だ。横に部下らしき男性が二名。その前にもう一人、風雅に対峙する格好でシャツにネクタイ姿の男がいる。
優雅さんが並ぶ機器をいじると室内の音声が響きだした。
『……わかった? それじゃあ、荷物まとめて出ていってもらうから。損害賠償については、弁護士から封書がいくよ』
風雅の声だ。向かいの男に向かって話しているのだろう。
『社長代理……! 風雅様、それは誤解です……! どうかお慈悲を……』
『まあまあ、何も命は取るなんて物騒なこと言わないよ。でも、表舞台には絶対に出させない。おまえの人生はもう終了』
風雅の声はどこか楽しそうだ。斜め上から見下ろす格好で見える表情は酷薄としたもの。
男がよろよろと膝をつき、額づく。土下座の格好で叫ぶ。
『風雅様、どうか今一度チャンスを……! もうけしてあなたを裏切るような真似は……』
『うるさいな』
風雅の冷たい表情に見覚えがあった。
私を傷つけた同級生の話をしながら、風雅はこんなふうに冷たく笑っていた。



