仮面夫婦の子作り事情~一途な御曹司は溢れる激愛を隠さない~

「私の人生は全部、風雅の手の上ということね」
「そうかも」

にっと口を横に引いた笑顔は凶暴に見えた。
風雅の根底にあるのは、圧倒的な強者の資質。その気になれば、高校卒業と同時に私と結婚できただろう。私の現在は風雅が『許した』からに他ならない。この男に見込まれた時点で、私の人生はもう詰んでいる。

だけどね。そんなの気に食わないったらない。

「入籍したらこっちのもんだと思ってない?」

私は挑むように微笑み返した。
ウエイターが入室してきて、私たちの前にオードブルとワインをセッティングしていく。こういった場所のスタッフは心得たもので、私たちが込み入った話をしているとすぐに察知し、ワインや食事の説明は最低限、早々に退室していった。

「私が両親のことも風雅のことも知ったこっちゃないって逃げちゃったら、どうするの?」
「追いかけるかなあ。地球の裏側だって、希帆を見つける自信があるよ」
「じゃあ、結婚生活は続けるけど、セックスは駄目。子どもは一生作らないって言うのは?」

風雅がにーっと笑うので、私も歯を見せて凶悪に笑ってやる。
そう、この結婚は風雅優位かもしれない。だけど、決定権は私にあるのだ。
私は風雅に易々とコントロールされてやらない。あなたの大人しい妻になんてなってやらない。

「それを言われると俺が困っちゃうのがわかってるんだね」
「ええ、風雅が私のことを大好きだと仮定したら、一緒に暮らしながら受け入れられないのが一番キツイでしょ?」
「うん、きつい。愛してるから」