「それでからかい続けてたんだとしたら、幼稚を通り越して歪んでるわよ」
「からかってるつもりなかったけどなあ。仲良くしてるつもりだった。婚約のときの反応は予想通りだったけど。……希帆が親御さんの手前、断れないだろうなって思って提案したしね。俺から逃げたくて台湾に留学したのも知ってる」
不意に空気が変わったように感じた。風雅の言葉を聞きながら、違和感を覚える。
真顔が柔らかな笑顔に変わるけれど、これは笑顔じゃない。なぜかそう思った。
「俺は希帆と絶対に結婚したかったから、希帆の好きなようにさせたんだよ。好きなことを学んでほしいし、好きな仕事に就いてほしい。俺のこと警戒してほしくないから、男女関係も求めなかった。希帆が望むのって俺との友人関係だと思ってたし」
「風雅。何が言いたいの?」
「やっと希帆を帰国させることができて、最初の晩はちょっとだけ焦っちゃったよね。でも、もう入籍したし、焦ることない」
風雅は深く息をつき、椅子の背もたれに身体を預けた。膝の上で組み合わせられた長い指が妙に視界に映る。
「希帆、大好き。時間はいくらかけてもいいよ。でも、希帆は最終的に俺を受け入れなきゃ駄目。俺のことを好きになって、子どもを産んでもらうから」
わかった。風雅は今、私に本性を見せている。
私をコントロールするために、支配者の本領発揮というわけだ。
風雅の今の雰囲気は、高校時代私が怪我をしたときと似ている。
私を害した女子を学校から追い出そうと画策したとき、風雅はこんなふうに冷笑していた。優しい笑顔の下にほの暗い根っこの部分が見える。
そうだ。風雅はこういう男。初夜で押し倒してきたって、今更だったわ。
私はいよいよ、風雅の恋心を信じてやらなければいけないらしい。
「からかってるつもりなかったけどなあ。仲良くしてるつもりだった。婚約のときの反応は予想通りだったけど。……希帆が親御さんの手前、断れないだろうなって思って提案したしね。俺から逃げたくて台湾に留学したのも知ってる」
不意に空気が変わったように感じた。風雅の言葉を聞きながら、違和感を覚える。
真顔が柔らかな笑顔に変わるけれど、これは笑顔じゃない。なぜかそう思った。
「俺は希帆と絶対に結婚したかったから、希帆の好きなようにさせたんだよ。好きなことを学んでほしいし、好きな仕事に就いてほしい。俺のこと警戒してほしくないから、男女関係も求めなかった。希帆が望むのって俺との友人関係だと思ってたし」
「風雅。何が言いたいの?」
「やっと希帆を帰国させることができて、最初の晩はちょっとだけ焦っちゃったよね。でも、もう入籍したし、焦ることない」
風雅は深く息をつき、椅子の背もたれに身体を預けた。膝の上で組み合わせられた長い指が妙に視界に映る。
「希帆、大好き。時間はいくらかけてもいいよ。でも、希帆は最終的に俺を受け入れなきゃ駄目。俺のことを好きになって、子どもを産んでもらうから」
わかった。風雅は今、私に本性を見せている。
私をコントロールするために、支配者の本領発揮というわけだ。
風雅の今の雰囲気は、高校時代私が怪我をしたときと似ている。
私を害した女子を学校から追い出そうと画策したとき、風雅はこんなふうに冷笑していた。優しい笑顔の下にほの暗い根っこの部分が見える。
そうだ。風雅はこういう男。初夜で押し倒してきたって、今更だったわ。
私はいよいよ、風雅の恋心を信じてやらなければいけないらしい。



