『風雅』
『階段から突き落とすとか、ちょっと許せないよね』
『あー、そうね。明日、この姿を見せて土下座でもさせてやろうかしら』
私が笑い飛ばすと、風雅が静かに答えた。
『明日はもう会えないよ。学校辞めてもらったから』
え、と私は風雅を見上げた。
辞めてもらった? それはあの女子のこと?
『大丈夫、親父の力とか借りてない。俺が個人的にお願いしただけ。希帆にしたことを許せないから顔を見なくて済むところに行ってって』
『え? ちょっと待って、風雅』
言葉で追い詰めて追い出したということ?
そこまでする?
考えて、風雅ならできると瞬時に思ってしまった。
風雅は魅力的な人間だ。それはプラスにもマイナスにもはたらく魅力だ。風雅が怒りと憎しみをもって、相手を制そうと思えば、おそらく簡単にできてしまうだろう。ほんのひと言、ふた言で、相手を追い詰めてしまえるだろう。
左門風雅は、そういう不思議な男だった。だからこそ熱狂的に好かれ、熱狂的に求められる。上に立つ人間のカリスマが備わっている男だった。
『どっちみち彼女、今回のことで停学にはなるみたいだったし、ちょうどいいでしょ。そのまま辞めればいいよ。まだ二年だから別な学校に編入できる』
『風雅!』
私は松葉杖でえっちらおっちらと風雅の前に回り込んだ。通せんぼの恰好で風雅の顔を見据えた。
『私の復讐を勝手にしたの? 誰が頼んだ?』
『だって、俺のせいで希帆が傷ついた』
風雅が悔しそうに顔をゆがめた。泣きそうな子どもの表情だ。
『希帆は強いけど、今回は本当に危なかったんだよ。下手したら死んでしまうんだ。俺のせいで希帆がこんな目に遭うの絶対に嫌だ』
『階段から突き落とすとか、ちょっと許せないよね』
『あー、そうね。明日、この姿を見せて土下座でもさせてやろうかしら』
私が笑い飛ばすと、風雅が静かに答えた。
『明日はもう会えないよ。学校辞めてもらったから』
え、と私は風雅を見上げた。
辞めてもらった? それはあの女子のこと?
『大丈夫、親父の力とか借りてない。俺が個人的にお願いしただけ。希帆にしたことを許せないから顔を見なくて済むところに行ってって』
『え? ちょっと待って、風雅』
言葉で追い詰めて追い出したということ?
そこまでする?
考えて、風雅ならできると瞬時に思ってしまった。
風雅は魅力的な人間だ。それはプラスにもマイナスにもはたらく魅力だ。風雅が怒りと憎しみをもって、相手を制そうと思えば、おそらく簡単にできてしまうだろう。ほんのひと言、ふた言で、相手を追い詰めてしまえるだろう。
左門風雅は、そういう不思議な男だった。だからこそ熱狂的に好かれ、熱狂的に求められる。上に立つ人間のカリスマが備わっている男だった。
『どっちみち彼女、今回のことで停学にはなるみたいだったし、ちょうどいいでしょ。そのまま辞めればいいよ。まだ二年だから別な学校に編入できる』
『風雅!』
私は松葉杖でえっちらおっちらと風雅の前に回り込んだ。通せんぼの恰好で風雅の顔を見据えた。
『私の復讐を勝手にしたの? 誰が頼んだ?』
『だって、俺のせいで希帆が傷ついた』
風雅が悔しそうに顔をゆがめた。泣きそうな子どもの表情だ。
『希帆は強いけど、今回は本当に危なかったんだよ。下手したら死んでしまうんだ。俺のせいで希帆がこんな目に遭うの絶対に嫌だ』



