仮面夫婦の子作り事情~一途な御曹司は溢れる激愛を隠さない~

「親の仕事上断れないから婚約したの。風雅だって、面倒だから私が相手で了承したんだと思ってた」
「親父に希帆と婚約させてーってねだったの俺だよ?」
「ええ!? そうだったの?」

またしてもにこにこと想像外の真実を言われ、余計混乱してきた。てっきり、親同士の話し合いで決まったものだと思っていたのに。

子作りはしない。別居婚。仮面夫婦。私はこの条件で結婚するつもりだった。風雅もそれで納得するだろうと踏んでいた。
違ったの?
風雅は私が好きなの? 十年も前から?
全然信じられないんだけど!?

「……風雅、私」
「希帆が嫌なら、婚姻届は出さないよ」

風雅はこともなげに言う。

「希帆的には俺と形だけの結婚をするつもりだったみたいだし。それで俺がやる気満々、盛りのついた犬みたいにハアハア寄ってきたら嫌でしょ」
「え、あ、その……」

そこまでは言っていない。だけど、私は風雅の気持ちに気づきもしなかったわけで。
……いや、私たちの十数年間を客観的に見たら、友情こそ見てとれても恋愛的な要素は皆無だっただろう。

「希帆のご両親にも、圧力をかけたりしない。婚約破棄しても、希帆とは友達でいたいから。えーと、あと大安リビング公司は……」

大安リビング公司、その単語に私はぴくりと肩を震わせた。それは私の台湾での取引先で、一番大きな会社だ。