仮面夫婦の子作り事情~一途な御曹司は溢れる激愛を隠さない~

「俺はこの先、希帆とセックスしたいし、子どもも産んでほしい。ゆうべはさ、このままデキたら、希帆も台湾に戻るとか言わなくなるかなって思って。焦っちゃった。ごめんね。もう、強引なのはしない」

風雅が席を立ち、コーヒーメーカーから新たなコーヒーを自身のマグカップにそそぐ。そのまま私の横にやってきて、私のマグカップにも注ぎ足した。

「十年、希帆と離れ離れなの我慢したよ? 結婚したら、もうちょっと俺のこと見てくれないと駄目」

私の髪を梳き、屈み込んで顔を覗き込んでくる。距離の近さに驚いて肩を押し返すと、その手を捉えられた。

「ちょ、風雅!」

風雅の目が一瞬暗い色を映した。ささやく声は普段より優しい。

「俺が十年の間、希帆に触れなかった理由を考えて? 自分から会いに行ったり、頻繁に声を聞きたがらなかった理由を考えて? 俺は希帆が思う以上に……」

言葉を遮るように、私は立ち上がり、勢いよく風雅の手を振り払った。

「とってつけたようなこと言わないで」

数歩下がり、私は風雅をねめつける。

「高校時代から男友達か、ペットかくらいの適当な扱いしておいて、いきなりそんな態度取られてもわからないわ。子ども? お父様のために後継者を作ろうと思ってるの?」

私のきつい語調を意にも介さず風雅は「うーん」と呟く。

「子どもはほしいし、セックスしたいとは言ったけど、それより純愛なんだよーってあたりをね。伝えたいんですけど」
「純愛とか、やめて」

私も少々混乱していたのだろう。強い口調で返す。