「こんな勇ましい嫁入りの挨拶あるんだ」
「よろしくね、って言ってるでしょ。よろしくしなさいよね」

私の威勢のいい言葉に風雅がくすくすと笑いだした。それからぺこっと頭を下げる。

「はい。末永く大事にします。これからも怒りん坊で元気いっぱいの希帆でいてね」
「怒りん坊は余計。風雅は、もうちょっとなんでも話して私に甘えること。凶暴でやばい部分は、なるべく私だけに見せること」
「はあい、善処しまぁす」

私たちは顔を見合わせ笑った。

「食べたら一緒にお風呂入って、ベッドに戻ろ?」
「え、ちょっと休ませてよ」
「駄目。まだ十年分の純愛を伝えきれてないから」

風雅がいたずらっぽく笑った。そんなの伝えきれるわけないじゃない。壊れちゃうわよ、私。
だけど、私を見つめる風雅の甘い視線に絡め取られると、どうにも拒否できない予感もしていた。