「寒いから今日は鍋にしてみたの、みぞれ鍋よ」

「わーっ、美味しそう」

出汁のいい匂いを鼻で感じながら、私と絹子さんは椅子に腰を下ろした。

「いただきまーす」

両手をあわせてあいさつをすると、食事を始めた。

美味しい食事を終えると、絹子さんと一緒に後片づけを済ませた。

「はい、ほうじ茶」

絹子さんが温かいほうじ茶が入った湯のみを出してくれたので、
「ありがとう」

私はお礼を言うと、ほうじ茶に口をつけた。

「もう2ヶ月だっけ?」

そう聞いてきた絹子さんに、
「うん、私がここへきて会社を手伝い始めてもう2ヶ月だよ」

私は答えた。

「ねえ…」

絹子さんはそう言って私を見つめると、
「本当に、後悔していない…?」
と、聞いてきた。