「亜月!」

急遽入院することになり、病室のベッドで横になっていたら孝太が入ってきた。

「孝太…」

久しぶりに見た孝太の顔にホッとしたのがわかった。

「今、どうなってる?」

そう聞いてきた孝太に、
「さっき、陣痛促進剤を打ってもらったところだよ。

破水して感染が危険だから、今からすぐに出すって」

私は答えた。

「そうか…じゃあ、もうすぐだね」

孝太は返事をすると、ベッドの横に置いてあるパイプ椅子に腰を下ろした。

「孝太、仕事は?」

「休みにしてもらったから大丈夫だよ」

そう答えた孝太に、私は気になっていたことを聞いた。

「あの、例の婚姻届のことなんだけど…」

「不受理が成立して解決したよ。

絹子さんが手を尽くしてくれたおかげで騒動が収まったよ」

その質問に孝太は答えてくれた。