Your PrincessⅡ

 渚はその後もたびたび悪夢にうなされた。
 夜中に飛び跳ねて起き上がるたびに、サクラが抱きしめて「大丈夫」と言ってくれる。
 サクラも、クリスも、シュロも皆優しかった。

 生きる気力のなかった渚であったが、
 また自分が変なことをしでかしたら、クリスの言う通り、
 連帯責任として皆に迷惑がかかってしまうのではないかと恐れた。
 食欲はなかったが、シュロの作るスープを無理矢理口に入れるようになった。

 何も考える余裕もなく、毎日ベッドに横になっていた渚であったが、
 そういえば、学校に行かなくていいのだろうかと考えるようになった。
 この家は診療所か何かだろうかと最初は考えていた。
 だが、クリスは毎朝学校に通っている。
 サクラも家にいることもあるが、時折、制服を来て学校に行っているようだ。

 何故、自分はここで寝泊まりしているのだろうという疑問が浮かんだ。


 そんな渚の疑問が解決する日はすぐに訪れた。
 夕食後、皆で「ご馳走様」をして後片付けをしようとした時だった。
「いやっ、来るわ」
 といきなり、サクラが悲鳴をあげた。
 サクラの身体がぴかっと光ったかと思えば。
 一瞬にしてサクラのロングヘアがショートヘアになったので、
 渚は口を開けてぽかんとしてしまった。
「せっかく、明日休もうと思ったのにー。もおー最悪」
 とサクラはプンプンしながら立ち上がった。
「先にお風呂入るからねっ!」
 と言って部屋から出て行ってしまう。

 何アレという疑問の顔をしていたのが、バレバレだったのか。
 目の前に座っていたクリスが、ため息をついた。
「ちゃんと、先に説明しておくべきだったね」
「そうだな。渚には、怪奇現象だもんな」
 お皿を片付けながらシュロが言った。