毎日、くたくたになってベッドに潜り込むが。
頭の中ではいつでも、此処を抜け出して家族に会うことだけを考えるだけの毎日だ。
渚は深くため息をつくと。
「おいっ、03番」
といきなり、低い声でタイラが枕元に立ったので渚はイラッとした。
もう消灯時間だ。
騒いでいるとすぐに見張りの者がやってきて怒られてしまう。
それでもタイラは寝る前になると、渚をからかう癖がある。
誰よりも泣き虫な渚に対して寝る前に怖い話をしてくるのだ。
「俺、もう寝たいんだよ」
力なく言うと、タイラはニヤリと笑った。
「おい、外に出られるチャンスが出来たぞ」
え? と声を漏らす前に。
二段ベッドの上段にいたキョンとマオが同時に声を漏らした。
「どういうこと?」
声を潜めて渚が言う。
「先輩方に聴いたんだよ。卒業試験は野外試験なんだってさ」
「…タイラっていつ、先輩と話しているんだ?」
先輩方とは話す機会なんて一切与えられていないはずなのに。
タイラはちょいちょい、先輩から聴いた話というのを披露する。
「それは、秘密だ」
自信満々に言うタイラに渚は、どうせ嘘なんだろうなあと思った。
「いや、信じろよ。マツも言ってたんだから」
渚を見てタイラがすぐに突っ込む。
「先生が言っていたならば、信憑性は高いね」
冷静にマオが言うので、渚は頷いた。タイラが言うならば嘘臭いが、マオが言うならば真実っぽく感じる。
「でもさ、卒業試験なんてあと4年はあるんじゃないの?」
渚の一言にタイラは「はぁ!?」と声を出して、慌てて口元をおさえた。
ドアに注目したが、看守は気づいていないようだ。
「03番はどれだけ、学校について知らないんだよ」
呆れたようにタイラが言う。
「マリク。騎士団学校っていうのは、少年騎士団と青年騎士団の2部制で。あと一年したら別の校舎に移動になるんだよ」
「え、そうなの?」
キョンの説明にタイラを見ると「何で知らないんだよ」と睨まれた。
「あと一年すれば卒業試験で外に出られる。その時を狙って逃げるしかねえ」
「あと一年もあるのかあ…」
一日があまりにも長く感じるというのに、あと一年。
渚が気が遠くなるのを感じた。
「卒業試験ってさ、ただ外に出るわけじゃないだろ?」
マオが鋭い指摘をする。
「そりゃそうだ。先輩の話によれば、先輩と戦うらしいぜ」
「どういうこと???」
タイラの話に渚は首を傾げる。
「俺達が3年生になったら、青年騎士団の人達と戦うってことだ」
「…そんなの無理に決まってるじゃないか」
渚が即答すると、「馬鹿かおまえ」と言ってタイラは渚を睨みつけた。
「無理だろうが何だろうが、やるしかねえんだよ。逃げ出すチャンスはそこしかない」
「…タイラも逃げ出したいの?」
タイラの気迫におされて渚は、ぐすんと涙目になってしまう。
タイラは目をそらした。
「ばあちゃんが病気になったんだってさ」
「タイラのおばあちゃんが?」
かつて、タイラは両親に売られたと言っていた。
ずっと両親ではなく、祖母と一緒に暮らしていたというのを渚は思い出した。
「卒業する頃には、ばあちゃんはこの世にいないかもしれねえ。だから、生きているうちに会っておきたいんだ」
「…そっか」
「強くなるしかないんだよ」
頭の中ではいつでも、此処を抜け出して家族に会うことだけを考えるだけの毎日だ。
渚は深くため息をつくと。
「おいっ、03番」
といきなり、低い声でタイラが枕元に立ったので渚はイラッとした。
もう消灯時間だ。
騒いでいるとすぐに見張りの者がやってきて怒られてしまう。
それでもタイラは寝る前になると、渚をからかう癖がある。
誰よりも泣き虫な渚に対して寝る前に怖い話をしてくるのだ。
「俺、もう寝たいんだよ」
力なく言うと、タイラはニヤリと笑った。
「おい、外に出られるチャンスが出来たぞ」
え? と声を漏らす前に。
二段ベッドの上段にいたキョンとマオが同時に声を漏らした。
「どういうこと?」
声を潜めて渚が言う。
「先輩方に聴いたんだよ。卒業試験は野外試験なんだってさ」
「…タイラっていつ、先輩と話しているんだ?」
先輩方とは話す機会なんて一切与えられていないはずなのに。
タイラはちょいちょい、先輩から聴いた話というのを披露する。
「それは、秘密だ」
自信満々に言うタイラに渚は、どうせ嘘なんだろうなあと思った。
「いや、信じろよ。マツも言ってたんだから」
渚を見てタイラがすぐに突っ込む。
「先生が言っていたならば、信憑性は高いね」
冷静にマオが言うので、渚は頷いた。タイラが言うならば嘘臭いが、マオが言うならば真実っぽく感じる。
「でもさ、卒業試験なんてあと4年はあるんじゃないの?」
渚の一言にタイラは「はぁ!?」と声を出して、慌てて口元をおさえた。
ドアに注目したが、看守は気づいていないようだ。
「03番はどれだけ、学校について知らないんだよ」
呆れたようにタイラが言う。
「マリク。騎士団学校っていうのは、少年騎士団と青年騎士団の2部制で。あと一年したら別の校舎に移動になるんだよ」
「え、そうなの?」
キョンの説明にタイラを見ると「何で知らないんだよ」と睨まれた。
「あと一年すれば卒業試験で外に出られる。その時を狙って逃げるしかねえ」
「あと一年もあるのかあ…」
一日があまりにも長く感じるというのに、あと一年。
渚が気が遠くなるのを感じた。
「卒業試験ってさ、ただ外に出るわけじゃないだろ?」
マオが鋭い指摘をする。
「そりゃそうだ。先輩の話によれば、先輩と戦うらしいぜ」
「どういうこと???」
タイラの話に渚は首を傾げる。
「俺達が3年生になったら、青年騎士団の人達と戦うってことだ」
「…そんなの無理に決まってるじゃないか」
渚が即答すると、「馬鹿かおまえ」と言ってタイラは渚を睨みつけた。
「無理だろうが何だろうが、やるしかねえんだよ。逃げ出すチャンスはそこしかない」
「…タイラも逃げ出したいの?」
タイラの気迫におされて渚は、ぐすんと涙目になってしまう。
タイラは目をそらした。
「ばあちゃんが病気になったんだってさ」
「タイラのおばあちゃんが?」
かつて、タイラは両親に売られたと言っていた。
ずっと両親ではなく、祖母と一緒に暮らしていたというのを渚は思い出した。
「卒業する頃には、ばあちゃんはこの世にいないかもしれねえ。だから、生きているうちに会っておきたいんだ」
「…そっか」
「強くなるしかないんだよ」


