夕食は、ささやかなパーティーが開催された。
 食堂に行くと、ビックリするくらいの品数の料理がテーブルに置かれていた。
 鳥の丸焼きに、サラダに、オードブルに、スープに・・・
 どれも、とにかく美味しそうだ。
「再会に乾杯」
 蘭の一言で全員が「乾杯」と言い合う。
 蘭はクリスさんやシュロさんと喋って。
 私はサクラと渚くんの3人で、ずっと喋った。
「カレン、健康になったよねー」
 ニコニコしながら、渚くんが言う。
「ありがとう。運動してたからかな」
 グラスに注がれたぶどうジュースを飲み干す。
 サクラは「お肉食べる? 野菜は?」と言って、取り皿に料理を取ってくれる。
 渚くんや、サクラにこの一年間を喋っている間、
 チラリと蘭を見ると、蘭と目が合った。
 どういうわけか、急に恥ずかしくなって目をそらしてしまう。

 あんなにカッコイイ人だったけ?

 この一年で、すっかりと蘭の姿を鮮明に思い出せなくなっていたせいか。
 でも、蘭自身変わったと思う。
 背が伸びているし、ガリガリから逞しい体つきになっている。

 結局、食事中、蘭とは喋ることなく。
 あっという間にパーティーはお開きになってしまった。
「明日は早いからな」
 と言って蘭が立ち上がる。
 私も立ち上がって、隣にいるサクラを見た。
 てっきり一緒に2階へ行くのだろうと思って待っていると。
「あ、カレン。私、此処を片付けてから行くから。蘭と一緒に部屋戻ってて」
「え?」
 どこか、ニヤニヤ笑っているサクラに。
 えー…と心の中で叫んだ。
「行くぞ、カレン」
 スタスタと蘭が歩いて食堂を出て行ってしまうので。
 急いで、蘭の後ろについていく。