再会というのは、どうしてこうもあっけないのだろうと思った。
 一年以上会っていなかったのだろうから、感動して泣くのかと思っていたけど。
 それは、あまりにも大げさな妄想だった。
 あれだけ、会いたかったはずの蘭を見て。
 嬉しいはずなのに。
 それだけで、上手く話すことが出来ない。

 蘭は、皆にからかわれて臍を曲げたのか部屋に引っ込んでしまった。
 渚くんに案内されて。
 懐かしい食堂へと足を運ぶ。
 食堂の扉を開けると美味しそうな匂いで溢れた。
「シュロ、蘭の奥さんが来たわよ」
 厨房に声をかけるサクラ。
 コックさんの格好をした男が出てくる。
 一年ぶりに会うシュロさんは服を着ていてもムッキムキだというのがよくわかる。
 この一年でこんなに、マッチョになるんだと思った。

「えーと、どちら様で」
 首を傾げて私を見て、「あっ」と叫ぶこのやりとり。
 懐かしくて、思わず笑ってしまう。
 記憶が一日しかもたない魔法をかけられたシュロさん。
 私のことは、すぐに忘れてしまう。

 初対面の感じで、シュロさんは私の顔を見ると、
「そのお顔は・・・」
 とモゴモゴとした声で言った。
「ああ、この痣は生まれつきなんです」
 出会った頃は、痣のことを言われるのがショックだったけど。
 もう、慣れっこだ。
 側で黙っていたサクラだったけど。
「シュロ、女性の顔をジロジロ見るんじゃないわよ。ましてや蘭の奥さんなんだから」
 とイラッとした表情でシュロさんを睨んだ。
「えっ!? 蘭っていつ結婚したんだ」

 このやりとりを見ていた渚くんが「ウケる!」と言ってゲラゲラ笑い始めた。
 シュロさんと話していると。
 ほっとする。