蘭の養父であるスペンサー伯爵は偉大だということは知っている。
だが、今までどうにもならなかったという問題が。
こんなにもあっさりと解決することになるとは・・・。
かつて、毎日落ち込んでいた渚が急に元気になった日を思い出す。
「何か、いいことあったの?」
とサクラが訊くと、
「アズマさんはね、魔法使いなんだ!」
と渚がよくわからないことを口にした。
そのとき、「へー」というくらいにしか思わなかったが、
アズマの存在はサクラの未来を強く動かした。
夕方だった。
サクラは部屋に籠っていた。
ドアがノックされて。
こっちが返事をしてもいないのに誰かが入ってきた。
「サクラ様、お客様です」
「会いたくない」
「いいえ、会わなくてはなりません」
サクラは軽く抵抗したが、力が入らず。
アズマにお姫様抱っこされて一階へと降りた。
ダイニングルームには異様な空気が流れている。
椅子に座っているのは黒い制服を着た男、2人だった。
「そいつが、サクラか」
睨みつけてきたのは、アズマと同い年くらいの男だ。
黒髪に白い肌が映えている。
清潔感のあるショートヘア。でも、目は獣を捕らえるときのような鋭い目つきだ。
「お初にお目にかかります。わたくしは、国家騎士団…所属部隊の詳細はここでは申し上げられませんが、上の申しつけによりサクラ様をお迎えにあがりました」
まるで、アズマのように物腰の低い言い方をするのが、もう一人の男だった。
サクラは椅子に座らされる。
「わたくしの名前は、ヒョウ。こちらに座っているのはヒサメでございます」
サクラは即座に変な名前! と思った。
だが、同時にどこかで聞いたことがあるような名前でもあった。
「本人の口から最終確認をしたい。サクラは騎士団を辞めて静かに過ごしたい。それでいいのか?」
「え・・・」
意味がわからず、サクラはアズマを見た。
アズマはニコニコと笑っていたが、急に真顔になった。
「サクラ様。申し訳ないのですが、サクラ様がここを辞められる場合。クリス様と離れることになりますが。それは構いませんか?」
サクラは雷に打たれたときの衝撃を思い出した。
思わず立ち上がると、台所のほうにクリスが立っていた。
クリスの横には泣きながら渚が立っている。
更に渚の横には口をぽかんと開けたシュロが立っていた。
アズマの横にはいつのまにか蘭が立っている。
サクラを睨みつけている。
「私は・・・」
クリスと離れ離れになることを考えてもいなかった。
「私は、自由になりたい」
震える声でサクラが言う。
「じゃあ、決まりだ。行くぞ」
ヒサメが立ち上がり、ヒョウも立ち上がった。
「サクラさんっ」
耐え切れずに渚が近寄って抱きついてくる。
「俺、待ってるからね。サクラさんのこと待ってるからね」
「…ごめんね、渚」
渚の背中をぽんぽんと叩く。
「俺も、また会える日まで待ってるよ」
クリスの一言にサクラは泣きそうになった。
だが、今までどうにもならなかったという問題が。
こんなにもあっさりと解決することになるとは・・・。
かつて、毎日落ち込んでいた渚が急に元気になった日を思い出す。
「何か、いいことあったの?」
とサクラが訊くと、
「アズマさんはね、魔法使いなんだ!」
と渚がよくわからないことを口にした。
そのとき、「へー」というくらいにしか思わなかったが、
アズマの存在はサクラの未来を強く動かした。
夕方だった。
サクラは部屋に籠っていた。
ドアがノックされて。
こっちが返事をしてもいないのに誰かが入ってきた。
「サクラ様、お客様です」
「会いたくない」
「いいえ、会わなくてはなりません」
サクラは軽く抵抗したが、力が入らず。
アズマにお姫様抱っこされて一階へと降りた。
ダイニングルームには異様な空気が流れている。
椅子に座っているのは黒い制服を着た男、2人だった。
「そいつが、サクラか」
睨みつけてきたのは、アズマと同い年くらいの男だ。
黒髪に白い肌が映えている。
清潔感のあるショートヘア。でも、目は獣を捕らえるときのような鋭い目つきだ。
「お初にお目にかかります。わたくしは、国家騎士団…所属部隊の詳細はここでは申し上げられませんが、上の申しつけによりサクラ様をお迎えにあがりました」
まるで、アズマのように物腰の低い言い方をするのが、もう一人の男だった。
サクラは椅子に座らされる。
「わたくしの名前は、ヒョウ。こちらに座っているのはヒサメでございます」
サクラは即座に変な名前! と思った。
だが、同時にどこかで聞いたことがあるような名前でもあった。
「本人の口から最終確認をしたい。サクラは騎士団を辞めて静かに過ごしたい。それでいいのか?」
「え・・・」
意味がわからず、サクラはアズマを見た。
アズマはニコニコと笑っていたが、急に真顔になった。
「サクラ様。申し訳ないのですが、サクラ様がここを辞められる場合。クリス様と離れることになりますが。それは構いませんか?」
サクラは雷に打たれたときの衝撃を思い出した。
思わず立ち上がると、台所のほうにクリスが立っていた。
クリスの横には泣きながら渚が立っている。
更に渚の横には口をぽかんと開けたシュロが立っていた。
アズマの横にはいつのまにか蘭が立っている。
サクラを睨みつけている。
「私は・・・」
クリスと離れ離れになることを考えてもいなかった。
「私は、自由になりたい」
震える声でサクラが言う。
「じゃあ、決まりだ。行くぞ」
ヒサメが立ち上がり、ヒョウも立ち上がった。
「サクラさんっ」
耐え切れずに渚が近寄って抱きついてくる。
「俺、待ってるからね。サクラさんのこと待ってるからね」
「…ごめんね、渚」
渚の背中をぽんぽんと叩く。
「俺も、また会える日まで待ってるよ」
クリスの一言にサクラは泣きそうになった。



