叔母を怒らせてしまった為、シュロは夕飯を食べさせてもらえなかった。
 屋根裏部屋に閉じ込められているシュロは空腹に耐えながらぼーと横になっている。
 どういうわけか、叔母は自分を嫌っているらしい。
 それは、自分がマヌケで馬鹿だからという理由だそうだ。

 そんな対応されても。
 畑仕事なんか手伝いたくもないし、毎日遊んでいたい。
 だいたい、弟や妹は手伝わなくていいのは何故か。
 ゴロゴロとしていると、「ギル」と呼ばれたので。
 シュロは、声のするほうを見た。
 立っていたのは、3つ上の兄であるドニーだ。
「腹減ったろ。パン食べな」
 ドニーは叔母が帰った後。
 こうして、こっそりとシュロのところに食べ物を届けにきてくれる。
「ありがとう、兄ちゃん」
 ドニーからパンを受け取る。
 ボソボソのかたいパンを嚙みちぎりながら、シュロは「また怒られちゃった」と笑った。
「どうして、叔母さんはおまえのこと嫌いなんだろうなあ」
「そりゃ、俺が遊んでばかりだからだろ?」
「…本当にそうなのかな」
 ドニーはそれが原因ではないと思っている。
 ギルバードが小さい頃から、叔母はギルバードに対してだけ風当たりが冷たい。
 他の兄弟にはめっぽう優しいのに…。