首都から見て、北東部にある自然豊かな村。
 そこで5人兄弟の次男として、シュロは生まれた。

 本名は、ギルバード・ロー。
 ロー家は代々、農業の家系だ。
 父親は毎日畑仕事に勤しみ、5人の子供を育てている。
 シュロの母親は、一番末の子供を生んで一年後に病気で亡くなってしまった。
 元々、生活は豊かではなかったが、
 母親の治療費の為に様々な借金を抱えたお陰で、より一層。
 ロー家は貧乏になった。
 子供たちは学校に行くことはなく、シュロの兄であるドニーは父親を手伝って朝から晩まで農作業をしていた。
 次男であるシュロはそんな父や兄の苦労を目にしながら。
 …毎日、遊んでいた。
「ギルバード! お兄ちゃんたちのところにお弁当持って行って」
 大声で怒鳴るのは、父親の姉…シュロにとっては叔母にあたる人だ。
 叔母は、独身で近所に住んでおり、
 シュロの母親が亡くなったのを機に家事を手伝いに来るようになった。
「あんたも、手伝っておいでよ。いいね!」
「行ってきます」
 家から10分ほど歩けば、ロー家の畑がある。
 だが、道端にはシュロにとって沢山の誘惑がある。
 その日は見たことのない蛙が飛び跳ねているのを見つけてシュロは夢中になって蛙を追いかけまわした。

 夕方になって。
 シュロの前に、
 叔母が仁王立ちして怒鳴り込む。
「ギルバード、何で、あんたは言われたことが出来ないの!」
 道端に届けるはずだった弁当がそのまま置かれている。
「あんたが届けないから、お父さんもお兄ちゃんも空腹で倒れちゃうじゃないの!!」
「じゃあ、オバちゃんが届ければいいと思うよ」
 そう言って、「はいっ」と言って。
 シュロは叔母に小さな蛙をプレゼントする。
「…こんの」
 叔母は顔を真っ赤にしてシュロを指さした。

「こんの、ロー家の恥さらし馬鹿息子!!!!!」