Your PrincessⅡ

　夢を見た。
　夢を見ているのだというのをすぐに自覚した。
　昔、見た夢と同じ光景だったから。
　私は８歳だった。
　お花畑が広がっている。
　目の前には、黒髪の女の子と金髪の男の子が手を繋いで歩いている。
　
　仲の良い兄弟だなあと見ていると。
　彼らだけじゃなくて。
　小さい頃のサクラやクリスさんの姿がある。
　更にその奥には泣きわめく渚くんが今と姿が変わらないままでいて。
　ぼーと花畑に座り込む小さい頃のシュロさんがいて。
　何だ、この光景はと自分で突っ込んだ。

　ふと、私は誰かと手を繋いでいることに気づいた。
　見上げると、お兄様が立っている。
「小さい頃から、ずっと見ている光景なんだけどねえ」
　とお兄様が呟いた。

　どういう意味だろう。
　お兄様に質問しようとしたところで。
　パチリと目を覚ましてしまった。
　寝返りをうつのもやっとな狭いテントの中で。
　目の前にサクラの顔があったので、ギャーと言いそうになった。
　驚いて心臓がバクバクするのを感じながら。
　外から、蘭のギャーギャーわめく声がしたので。
　またか…と思った。
　何の練習をしているのかはわからないが。
　もう少し声のボリュームをおとしてくれよと、ため息をついた。