リビングでまた言い争い中の両親。

「おはよう」

普通の音量で零した挨拶は、
2人を簡単に一時停戦にした。

「千鶴、あんた今何かいった?」

そう。
私に音が戻ってから家では初めて発した言葉。

お父さんもお母さんも
目をまん丸にして私を凝視する。

「おはようって言ったの。」

少し恥ずかしい。

「そうか、、、
そうか。
おはよう千鶴。」

お父さんのこんな笑顔、久しぶりに見た。

私のせいで捨ててしまってたのかも。

「千鶴、、、」

泣かないでよ、お母さん。