アンドリュー殿下の隣にミリアが並んで腕を組んだ。
「はは、いいのか?将来の王妃の座はなくなるんだぞ?お前は、王妃になりたいだけで、俺と婚約していたんだろう?知っているんだ。お前が俺のことを利用しようとしていたのは」
 アンドリュー殿下が不快そうな顔を見せる。
「あら?殿下こそ、将来の王座を捨ててまでミリアさんと婚約するなんて、随分お2人は愛し合っているんですね。王になりたいと思っていたので意外でしたわ」
 アンドリュー殿下が馬鹿にした目を見蹴る。
「は?王座を捨てるなんて言ってないぞ」
「あら、でも、私との婚約を破棄したのですから、陛下と父に報告すればすぐに皇太子の座は第二王子に移ると思いますよ?」
 殿下がカッとなって大声を出した。
「お前、あることないこと、報告して俺を陥れるつもりか!」
 何を言っているんだろう。
「何をおっしゃっているの?貴方のお母様は正妃ではありますが、子爵令嬢。後ろ盾の弱い正妃です。一方第二王子のお母様である側室は侯爵令嬢。とても大きな後ろ盾があり、しかも成績優秀なうえに人望もあります」
 あ、しまった。暗にアンドリュー殿下が成績がいまいちで人望もないと言ってしまったわ。
「だから、どうした!俺が正妃の子で、俺が第一王子だから、側室の子なんて関係ないだろう」
 ほっ。まったく気がつかれなかった。それにしても、本当に頭がいまいちだわ。よくこんなのを皇太子にしたものね。
 お父様は「お前が上手く操れば問題ない」と言っていたけれど、プライドばかり高くて操ることもできないクズに成長してしまいましたよ。