「黒の乙女は表情豊かですね? お顔を見ればなんとなくお考えが分かりますよ」


そんなに分かりやすいかな? と思いつつ、まぁ、この方は機微に聡いのだろうと思って納得する。


「ここは今国境で、一番攻め込まれており危機的状況だったので王都から騎士団を派遣しており、総指揮がこの団長だったものですから……」


ため息混じりな副団長さんに、団長さんはちょっとバツが悪そうにしつつも言った。


「仕方ないだろう。うちのアラルみたいな子が矢じりの先にいたんだぞ。助けないという選択肢は、俺の中には無かった」

そんな団長さんだから、騎士にも砦に来ている住人にも慕われているんだろう。

部屋に一緒にいる他の騎士さん達は団長の言葉を聞いて嬉しそうだし、誇らしげだ。


「確かに、どの子も無事であって欲しいですよ。子は国の宝ですからね。ですが、その後の無茶はいけません。なんであなたが最前線に立ったのか。後ほど、お説教です!」


モノクルをキラっとさせて副団長さんは、その後はキリキリと動いてお仕事をしていた。


「さて、ここに来てもらったのはお礼と、今後のことを兼ねて相談があるからだ」


ここに来て、話の本題が切り出されたことに気持ちをキュッと引き締めた。