「ん?」
キョトンとした大きな瞳で、
首を傾けた葉音ちゃん。
「あきと君?」
小鳥のような透明感のある声で
名前なんか呼ばれちゃったから
僕の心臓のバクバクが、半端ない。
跳ねだしたまま、止まらない。
ムっ……、ムリぃぃぃぃ。
これ以上
心の綺麗さで輝いているような
葉音ちゃんの瞳なんて
見つめていられないよ。
僕の心臓、壊れちゃう。
恥ずかしさに耐え切れず、
僕は目を逸らして
自分の机の落書きを、ガン見して
なんとか、細い声を紡いでボソリ。
「……おはよ」
そんな自分に、がっかり。
はぁ~~。
今日も、いつも通りの逃げ男だぁ。
僕の声、ナヨナヨしすぎ。
聞こえたかどうかも、微妙レベルだよ。



