「僕が断ったら、
葉音ちゃんは困っちゃう?」
「えっ?」
「ウサギの獣人役でステージに立つ人が、
いないってことだよね?」
「それは、大丈夫だよ」
「……?」
「ウサギ獣人にしたいって、お父さんが
目星をつけてる人も、いるから」
「そっか、そっか」
それなら、良かったね。
でも……
僕じゃなくてもいいという現実は、
ちょっとだけ悲しいかな……
「お父さんは、雅光君を推してるの」
まさみつ君?
それって……
同じクラスの
『染谷 雅光くん』だよね?
太陽みたいに明るくて。
僕が見上げちゃうくらい、背が高くて。
自分の意志をガツンと持ってる、
僕と性格が正反対の、ワイルドイケメン。



