お母様にそう言われて、わたしは泣いた。

「……やっぱりわたしじゃ、親になるなんてムリなんですかね」

「そんなことないわ。紅音さんはとても素晴らしい人よ。……親になれない人なんて、いないわ」

 お母様からそう言われて、わたしはとてもその言葉が胸に響いた。
 【親になれない人なんていない】そう言われて少しだけ、安心した。

「だけど爽太さんは、子供を望んでいません。結婚する時も、そういうルールを決めました。……わたしが子供がほしいって言ったことで爽太さんを困らせてしまうのなら、言わないほうがいいって思ってます」

 だけどわたしの気持ちだけじゃなくて、爽太さんの気持ちもやっぱり必要だから……。
 自分の気持ちを押し付けるのは、良くない気がした。……ちゃんと話し合ったほうが、いいのかもしれない。

「……紅音さん」

 これはわたしのだけの問題じゃないから……。夫婦二人の問題なのだから。
 
「大丈夫です。……わたしなら、大丈夫です」

「……ムリしないでね、紅音さん。何かあったら、いつでも言って」

「ありがとうございます。お母様」