「コイツの父親が借りた借金返さねぇから、返せって言ってるだけだろ?」

「だからって体で払えなんて、そんなセクハラまがいな発言していい訳ないよな?」

「うぜぇ……。何なんだよてめぇは!?」

 あの時、そう言って殴りかかる男の拳を受け止めた爽太さんは、その男たちを撃退してくれたのだった。

「大丈夫か?」

「……ありがとう、ございました。助けて頂いて」

 わたしはあの時、爽太さんに助けてもらったからこそ、こうして恩返しが出来ている気がする。

「……お前、借金どのくらいあるんだ?」

「え……?」

「借金。父親が借金してるんだろ?」

「……500万くらいです」

 その言葉の後、爽太さんは「そんなにあるのか、借金」と言ってわたしを見ていた。

「……はい。父親が借金してると知ったのは、父親が死んだ後です。気が付いたら、わたしが払うことになっていました」

 父親の借金を抱えて生きていくのは、とても辛い。毎日こうして取り立てられて、生きてくことに疲れてしまった。

「……もう、イヤだ」

 父親の借金さえなければ、わたしは今頃幸せになっていた。