8月25日(前編)

「愛、兄貴とタメだったし、よく遊びに来てたんだよ。今日はちょっと訳あって来ただけだから」

「そう、だったんだ…」


じゃ、ほんとにわたしの勘違いだ。

うわー…恥ずかしいじゃん、こんなの。

「で、紗良ちゃんは何しに?」

と久しぶりに顔を覗き込んでくるから困る。


「……お礼を言いに…」

「お礼って何のお礼?」

「冷却シート貼ってくれたの水樹くんだったんだよね?それに体調悪いことにも気づいてくれたみたいだし」

「あ〜それね。別にそれぐらいいいよ」


とあっさりな水樹くん。


「じゃ、わたし帰る」

とりあえず今日はお礼だけでも伝えたかったから、目標達成ってところだ。

「ダメ。ほんとはまだ言いたいことあるでしょ?」

と腕を掴まれ、瞳が向けられる。


他に言いたいこと……

それはたくさんある。