8月25日(前編)

ーー数時間後…

バイトを終えたわたしは水樹くんの家の前まで来ていた。

ここに来るまでの間、何度も引き返そうと足を止めたけど、その度に沢田先輩の言葉を思い出し足を進めた。


そして、意を決してインターホンを押したけど留守のようで誰も出て来ず、しばらく待つことに。


正直、お兄さんが出たらどうしようかとヒヤヒヤだった。


それにしても暑い。

梅雨が明けた空は快晴で太陽の日差しがかなり痛い。


水樹くんバイトなのかな?

電話かけたら出てくれるかな。

とスマホを取り出した時だった。


遠くで笑い声が聞こえ顔をあげると、水樹くんの姿が見えてドキッとする。

だけど、そのドキッとしたのは水樹くんが見えたからじゃない。

その隣に女の人がいたからだ。


遠目だけどわかってしまう。


その人がかなり美人だということが。