8月25日(前編)

勢いよく階段をあがってくる音がしたと思った瞬間ドアの開く音がした。

「紗良ちゃんっ!?」

とそこには呼吸が乱れた水樹くんが。


「ッチ。お前帰って来んの早すぎ。もう少し味見しとくつもりだったのに」


お兄さんはそう言うと、渋々といった表情でベッドからおりた。

…た、助かった…。


胸元を抑えながら体を起こすと「またね?紗良ちゃん」とお兄さんは出て行った。

ほんと…あの人は危険人物すぎる。


「紗良ちゃん…」


と呼ばれ水樹くんに視線を向けると「大丈夫だった?何もされてない?」と心配そうな表情が見えた。

「だ、大丈夫…」

そう返事をすると水樹くんの視線が泳ぐ。


「水樹くん?」

それが不思議で名前を呼ぶけど一向に目が合わない。

「とりあえず、その…ボタン……しめてくれると助かる、かな」