8月25日(前編)

残念ながら試合は負けてしまったけど、やりきった感はあるから悔いなしだ。

ただ…小指の痛さがどんどんと増していく。


見ると青く腫れてきていた。

これは完全に突き指だ。


酷くなる前に保健室に行こ。

和子にはトイレに行くと嘘をつき、体育館を抜け出すとすぐに「紗良、」と呼び止められた。


「朝陽っ?」

呼び止めたのはなぜか朝陽。

「突き指したんじゃないの?」

「なんで…」

わかったの?…


「見せて?」

と手を掴まれ、小指を見るなり「痛そう…」と顔が歪む。


「保健室行こ」

そう言って歩き出す朝陽に待ったをかけた。

「朝陽、バスケの試合は?」

「試合まではもう少し時間あるから大丈夫」