8月25日(前編)

体育館の隅に座り込み、ボーっとしていると目の前に誰かの影が。

ふと見上げるとそこには朝陽が立っていた。


「朝陽…どうしたの?」

「それはこっちのセリフ」

そう言うと隣に座った朝陽に変な緊張が走る。


それは同じクラスになったのに、こうしてまともに話すことがこれまでになかったからだ。

「見に行かなくていいの?」

「え?」

「サッカー、出てるんじゃないの?水樹」


なんだ、朝陽も知ってたんだ。

何も知らなかったのはわたしだけか。


「いいの。見に来てとか言われてないし…それに小雨降ってるみたいだし」

「…そっか。じゃ、ちょっと話そ?せっかくだし」

とアグラをかく朝陽は話す気満々のようだ。


「紗良ってバレーに出るんだっけ?」

「うん、去年は補欠だったけどね」