「そろそろ行こっか」

と隣から和子の声がした。

肩を並べて体育館へと向かう道中でのこと。


「ね、今年も盛り上がりそうだね!」

「え?何が?」

「何がって、慧くんと朝陽くんに決まってんじゃん!去年と同じで2人ともバスケでしょ?」

「あ〜、そう言えば去年盛り上がってたね」


確か去年は僅かな点数で朝陽たちのクラスが優勝したんだっけ。

そんなこともあったな〜懐かしい。


「紗良はもちろん慧くん応援なんだよね?」

とキラキラした和子の瞳と重なる。


応援、か…

それはもちろん水樹くんを応援するつもりだけど…

肝心な本人から何も言われてないのだ。


なんならバスケに出ることも平野くんから聞いたぐらい。