8月25日(前編)

「いつまでそこにいる気?誰もいないから入って」

と腕を軽く引っ張られると、その勢いで中に入ってしまった。

水樹くんはドアを閉めると、わたしの前に立ってこう言った。


「紗良ちゃんさ、俺の彼女にならない?」

と。

俯いたまま、水樹くんの言葉をよーく考える。


彼女とは?…

つまり付き合うということ?


え、でもそれはどう考えてもおかしい。


だって水樹くん昨日……。

「あ〜でも周りには秘密でね?」

……さっぱりわかんない。

「俺、友達付き合い大事にするタイプだから、誘われたら女の子とも遊ぶけど、それは大目に見てくれると助かるな〜」