8月25日(前編)

「そうだったんだ…わたし全然知らなくて…」

「じゃ、晴人が誰を好きなのかも知らないんだ?」


え、水樹くんそこまで知ってるの?

「紗良ちゃんは知らないほうがいいかもね」

そう言うと手を繋がれた。


与田くんの好きな人が誰なのか気になるけど、今は繋がれた手のほうが気になって仕方ない。

久しぶりの水樹くんに胸が締め付けられる。


「俺のだから」

ボソッと何か言ったみたいだけど、うまく聞きとることができなかった。

「ね、先輩のこと気になるの?」

と顔を覗き込まれる。


「気になるっていうか…最近元気ないみたいだから」

「ふーん。でもそれを紗良ちゃんが気にかけないとダメなの?」

「え?」