8月25日(前編)

それからのバイト時間はあっという間に過ぎ、気持ちが冷める前に急いで制服へと着替えた。

「紗良ちゃんお疲れ〜!お、行ってくるんだね」

沢田先輩から声をかけられ大きく頷くと「頑張って!」とガッツポーズを見せてくれた。


「行ってきますっ」

それだけ言い残し、ダッシュで水樹くんのバイト先へと向かった。


どうかまだいますように!

走りながらそう祈り続けた。


「はぁ、はぁ」

水樹くんのバイト先に着く頃には息があがっていて、膝に手をついて呼吸を整えた。


あとは目の前の交差点を渡りきるだけ。

歩行者用の信号が青になり、足を一歩踏み出した時だった。


バイト終わりの水樹くんがスマホを触りながら出てきたのが見え、声をかけようとした時「慧くん!」と1人の女子がコンビニから出てきた。