8月25日(前編)

朝陽はそう言うと少し腰を曲げて顔を覗き込もうとしてきたけど、何を思ったのか途中でやめたようだった。

久しぶりの朝陽は確かにまた身長が伸びた気がする。

「じゃ、行くわ」

と言って歩き出そうとした朝陽の腕を咄嗟に掴んだ。

「紗良?」

「…ありがと、朝陽」

口をきくのだって本当に久しぶりだったから…わたしの声がちゃんと届いたのか不安になる。


「おう。じゃーな」

そう言って去るところを見れば、届いていたようで安心する。


よかった…これで前髪を切らずに済む、ってことだもんね。