8月25日(前編)

振り向くことはできないけど、今の声は間違いなく朝陽だ。

「特別許可?俺には届いてないぞ?」

「それはおかしいですね。職員室で確認取ってみてください」

「そ、そうか?じゃ、夏目もういいぞ」


先生はそう言うと職員室へと向かったけど…

特別許可なんてわたしも知らない。

「紗良、」

と久しぶりに呼ばれた名前にドキッとする。

朝陽と向き合うのはいつぶりだろう?


「特別許可は本当だから心配すんな?こうなると思って先に手打ってたんだよ」

そう言うと朝陽は壁に背中を預けた。

「話しかけるなって約束破ってごめんな?でも、こうなったのは俺のせいだし…これぐらい許して」