8月25日(前編)

3階の男子更衣室の前でため息がこぼれてしまう。

ここに来るのは随分と久しぶりだ。

そして、さっきから心臓がバクバクとうるさい。


意を決してドアを開けると、ロッカーに背中を預けて座る水樹くんの姿があった。

「紗良ちゃん…」

とふんわり微笑む顔に胸が締め付けられる。


「来ないかと思った」

「……どうして呼んだの?」

ドアを閉めてそう尋ねた。


来たことに後悔はしていない。

だけど、いざ水樹くんを目の前にすると気持ちに余裕が持てなくなった。


途端に早くここを出たいという衝動にかられる。

だから早く要件を…。