8月25日(前編)

それを聞くと、初めて体を起こし振り向いた。

「なんでそれを…?」

「わたし、水樹くんのことなら何でも知ってる。忘れられないからこそ、女子と遊んだりしてることも…それほど一途ってことも」

「……ッフ」


と呆れた笑いをされると、そのまま前を向いて俯く水樹くん。


「じゃ、もうわかったでしょ?俺がどんな人間なのか」

「…水樹くん…」

「似てたんだよね。その子と紗良ちゃん」

「え?わたしと…?」


それは容赦が?

ってそれはないか。


「その子は奈々って言って俺らとタメ」

「…奈々、ちゃん…」

と復唱してしまう。