8月25日(前編)

行かなくちゃ…!

今行かないと後悔すると思った。


「行ってくる」

もう一度、平野くんにそう言うと笑って頷いてくれた。

きっと、水樹くんが向かった場所はあそこだ。


テントを抜け走り出そうとした時「紗良っ、」と朝陽に腕を掴まれた。


「朝陽…」

「どこ行くの?…水樹のとこ?」

「…うん」

「なんで?勝ったのは俺だよ」

朝陽はそう言うと腕を離した。


「ごめん朝陽…。わたし、やっぱり水樹くんが好き。今行かないと後悔すると思う」

「…行っても後悔すると思うけど?」