8月25日(前編)

水樹くんがニヤニヤしながらわたしを見るけど、それはあながち間違いではない。


「寂しかったよ。水樹くんに会いたいって思ってたから…」

真っ直ぐ水樹くんの目を見て言うと、ニヤニヤ顔が消えていく。

「…そういうのはズルいな〜。これだから紗良ちゃんは…」

ため息を吐きながら、わたしから視線をそらしていく。

でも本当のことだから。


「お、慧!来てたんだ?待ってたよ」

「逞、サンキューな」

「あ〜うん。あんまり役に立てなかったけど」

逞くんは苦笑いしながらチラッとわたしを見た。

それでこのやり取りはわたしのことなんだと気づく。