8月25日(前編)

水樹くんがいないとなると楽しめそうにない。

「夏目さん行かないの?」

平野くんは振り返るとそう声をかけてきた。

「…もうちょっとしてからでいい、かな」

「じゃ、俺も」


そう言うと平野くんは踵を返し、わたしの隣まで戻ってきた。


その場にシートを敷き、平野くんと肩を並べて座り千波たちの様子を眺める。

「夏目さんって長谷川と仲良いよね?」

「……幼馴染、だから」

「まじで!?へ〜幼馴染か、いいな〜。俺にもそういう存在欲しかったな〜」


朝陽が幼馴染でよかった、って今は思える。

少し前まではつらかったけど…。


「てか夏目さん、前髪切って正解だったよ。みんな驚いてたよ?可愛いから」