天哉と裕貴は落ち着いた紫音を見て
次は俺たちから話しがある。と話しかけ

「えーーっと…何このピリピリな空気…」

珍しく険しい顔をしているふたりを見て
最初に話しかけたのは、紫音からだった。

「…なー紫音」
「なに?」
「正直に俺達には話して欲しい」
「……何を?」

紫音は、ふたりの伝えたい事を悟ったのか
気まづそうに2人のいない方向へ目をやる

「生物担当の園田先生との事」
「……」

やっぱりかという程の表情をしたが
少ししてすぐ悲しそうな表情に変わった

「……紫音、教えて」
「俺らにくらい言えるだろ紫音」
「っ……うん…」

ふたりが凄く真剣に真っ直ぐ
紫音を見るから紫音は話す事を決めた

「ちょっと長いけど…聞いてね」
「「うん/ああ」」

「彼と初めて会ったのは2年前かな?
私が 2年前に見学で来た時の話しかな
すごい猛暑だったのふたりは覚えてる?」
「うん/ああ」
「私は、最悪なタイミングで貧血起こして
倒れかけた事があって
その時私を助けてくれた人が彼だったの
保健室まで、お姫様抱っこしてくれて
初めましてなのに凄く優しかった。
改めてお礼をしたらその途端
ごゆっくり。と言って保健室から
彼が出ようとしたら人が入ってきたの。
それは梨華だったんだけど彼と梨華は
幼なじみだったらしくて私は迷わず
彼が出ていった後梨華に相談したの
一目惚れしちゃったって。
それからは梨華に改めて紹介してもらって
遊んだりしていくうちに付き合う様なって
私は本当に好「ちょっと待て」え?」

紫音が話していると天哉が話を止めた

「抱っこ姫されただけで惚れたのか?」
「違う…私の話聞いてた?だから」
「でもおばさんには生徒と教師って言った」

紫音が天哉の一言にムッとして
話しを続けようとしたら裕貴が一言放った

「……」
「それって付き合ってないでしょ」
「どう考えてもお前は彼女じゃないて言われてんだろ」
「違うよ…芳樹はお母さんを心配させない様に」
「それってさ…自分を守りに入っただけで」
「違うんだって!」
「なー紫音お前が大事ならちゃんと言うだろ」
「ふたりは何も知らないでしょ!事情とかも」

裕貴と天哉が話しているうちに紫音が叫んだ
きっと紫音は否定をされたくなかったのと
芳樹が母親に隠してた事の意味が本当に
ふたりの言ってる理由かもしれないと
カッとなったのもあるんだろう

「……もういいよ…帰ってよふたり共」

紫音が怒ってふたりを部屋から押し出す

「俺らは認めねーからな教師だぞ相手」
「紫音…」

ふたりは苛立ちと悲しそうな顔で言うと
紫音は泣きそうになり部屋のドアを閉めた

「ひーくんとたーくん」

ふたりの後ろから話をかけてきたのは
紫音の母親で慰める様に 「大丈夫」と言った

「後は私に任せてちょーだいな」
「「おばさん…」」

ふたりはお互いに向き合い帰る事にした

「お願いします」
「おばさん…俺らが居るのにすいません」

ふたりさ頭を下げ、謝る

「ちょっとふたり共、頭上げてちょうだい」

紫音の母親はふたりの頭を上げさせ

「ふたりは悪くないわ、大丈夫だから」

笑顔でふたりに伝えて帰らせた
そうして紫音の部屋のドアをノックした

「紫音…ちょっとでてきなさい」
「……」
「リビングに来てちょうだい」

母親は紫音をリビングに呼び話し始める

「ねえ紫音…お母さんは悲しいわ」
「っ…ごめん…なさい…」
「でもそれは生徒と教師が恋したからじゃない」
「……え?」

紫音は驚いた顔をしている

「紫音が黙っていた事もだけど…それより」
「それより…?」
「紫音が1人で抱え込んできたから」
「…っ」
「好きになったのがたまたま教師なだけ」
「…」
「お母さんにも教師と付き合った事はある」
「……お母さん…が?」
「ええ。でもね…長くは続かないのよ」
「え」
「好きなだけじゃダメな事もあるの」
「……」
「紫音が今どこまで好きかは分からない」
「…」
「お母さんはありえないとは思わないわよ」
「えっ!」
「でも…お父さんはどうかしらね?」
「…」
「お母さんとお父さんには親の務めがあるの」
「務め?」
「紫音…貴女が最大級に幸せになること」
「私…が?」
「そうよ、幸せなった紫音を送り出す事よ」
「……」
「本当に紫音が先生の事好きなら向き合いなさい」
「向き合う……」
「たーくん達が言ってた事分からないでもないでしょ?」
「……うん」
「お互いに沢山向き合って沢山話し合って」
「……」
「沢山好きになって支え合って行くのが恋なの」
「分かった。」
「お母さんが言えるのはここまでだから」
「ありがとう…お母さん…」
「お母さんとお父さんはいつでも味方だから」
「うん!」
「きっと、ひーくんとたーくんもね」

紫音は泣いて母親に抱きついて
母親は紫音を慰める様にトントンした。