「キッチン借りるな…」
氷枕とかを探そうと思い、立ち上がる

「ん?どうした?」
楓が弱々しく服の裾をつかんできて優しく尋ねる

「ここにいて……ゴホッ」

甘えてきた楓に胸を射貫かれる

「氷枕とか、持ってこないとだから」
諭すように言ったら、名残惜しそうに手を離して、拳を握りしめていて、かわいいと思った

「すぐ戻ってくるからね」

「ゴホッ、ゴホッ」
咳で声が出ないのか、こくりと小さく頷いたのが分かった


「えーーと、……あ、あった」
冷凍庫を探したら、氷枕が見つかり、タオルと一緒に持つ

おかゆの材料になりそうなものがあるかを確認して、一旦部屋へ戻る

扉を開けると、うとうととしている楓が目に入った

「おやすみ、楓…」
と、声をかけると、ほっとしたかのように目を閉じて眠りに落ちたらしい


「ちょっと、失礼するよ、」
楓の頭を起きないように気をつけながら上げて氷枕をおいた