「はい、きりつ!」

結局楓が戻ってこなかった

どうしたんだろう

「えーと、ここは………………………」
楓が心配すぎて、授業に集中できずに視線は窓の外をさまよっていた





「礼!」
授業が終わって楓生を探しに行こうと腰を上げたら、慌てた様子の萌羽が恐ろしいスピードで教室から出て行った

「え………あんなに速く走れたのかよ」

「なぁ、柊、萌羽、どこ行ったと思う?」
困惑した表情の瑛大が寄ってきて尋ねられて顔をしかめる

「………あ、まさか…」
瑛大の顔が陰る

「………何でもね、萌羽戻ってくるかな…?」
と、言って教室から出て行ってしまった

暫く俺は呆然と立ち尽くしていた

「あの……神谷くん…」
おずおずと話しかけてきた